佐藤成史連載

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佐藤成史
佐藤成史(さとう せいじ)
【プロフィール】
 1957年、群馬県前橋市生まれ。北里大学水産学部水産増殖学科卒業。日本全国はもちろん、アメリカをはじめとする世界各国を釣り歩く。
 マッチング・ザ・ハッチの釣りだけではなく、総合的なマッチング・ザ・X(詳細は著書「ライズフィッシング・アンド・フライズ(地球丸刊)」を御覧下さい。)の理論で釣りを展開。フライフィッシングをさらに奥深い世界から捉えた眼力、分析力は他の追随を許さない。
 著書多数。テレビ・ビデオの企画、出演などで活躍中。

■FF徒然草 第3話

☆ 何がいったいどうなっているやら!?
    ……釣り場や魚たちに起こっているさまざまな変化について

* コイの川!?

 今回は少々物騒なお話です。解禁早々、縁起でもないといわれそうですが、実は最近、ちょっと不思議な光景を目にしました。まずはその報告から……。
 この2月の暖かさは、各地で観測史上最高の平均気温を示したようです。前橋の2月も同様で、やはり暖かい日が続きました。特に3週目後半……これは長野が解禁になった週ですが……は、4月中旬並みの陽気になったほどです。
 そんな季節外れの好天に誘われ、自転車に乗って近所の川へフィッシュウォッチングに出かけました。
 そこは郊外の住宅地を流れる三面護岸の川(というよりも水路?)なのですが、春先にはいつもヤマメの姿が見られます。河川環境はともかく、水の透明度が高いうえに、川の両岸にぴったり取り付けられた舗装道路から川面を見下ろせるため、魚がとても見つけやすいのです。橋も100mおきくらいにはついているので、魚たちがフィーディング態勢に入ってさえいれば、ライズの有無に関わらず、その姿を見逃すことはありません。
 それでいつものように、魚を目視できる確率の高いポイントを観察しながら、おおよそ1kmくらいの区間を見て回りました。ところが、ヤマメの姿はまったく見当たりません。それどころか、いつもなら浅場に群れているハヤの姿もまったくないのです。見えるのは、アベレージで50cmくらいはある見事に太ったコイばかり。それがプールの底から水面付近まで、折り重なるようにして群れています。水深の浅い瀬にもさえ、流れの緩い箇所を選んで必ず数尾が定位しています。
 おりしもユスリカのスーパーハッチの最中で、岸辺のあちこちに抜け殻と屍骸が打ち寄せられていました。そしてそのドス黒い塊を、コイたちが巨体を揺らしながら『ジュボ、ジュボ!!』っと、大きな音を立てて吸い込んでいるのです。それはかなり迫力のある光景で、思わず生唾ゴックン。
しかしそれと同時に、あれがヤマメだったらなぁ……と、しばし見入ってしまったのです。

* 変 化

 数日後、その川が流れる住宅地に住む知人からこんな話を聞きました。
「最近、カワウの姿をよく見かける。特に朝の通勤時間前、それに人通りが意外に少なくなる日中に、群れでやって来ているようなんだが……」
 とうとうこんな支流筋にまでカワウが入ってくるようになったのか……。カワウによる川魚の食害は、以前から問題視されています。ところが、それを食い止めるどころか、カワウの侵攻するスピードの方がはるかに速く、現実的には漁協も行政もお手上げ状態が続いています。放流事業はカワウにエサを撒いているようなものだと嘆く組合員も多いのですが、制度上、放流を止めるわけにもいきません。
 そんなわけで、必要以上にコイの目立つ理由が分かりました。この川の場合も、やはりカワウの食害による影響が大きいようです。カワウの口に入るサイズではないコイ以外の魚は、すべて食い尽くされた感じなのです。
 それではコイは安泰かというと、実はそんなこともありません。実は世界中のコイがKHV(コイ・ヘルペス・ウィルス)の脅威にさらされています。昨年、霞ヶ浦で起こったコイの大量斃死以来、KHVはすっかり有名になりました。今年の1月の時点で、全国23の都府県でKHVの感染が確認されています。幸いにも、群馬県ではまだ発生していません。しかし鳥インフルエンザと同様に、感染ルートが解明されていないため、いつどこで、どんな状態にある魚が発症するのか予測できません。また、それが他の魚種へ感染して発病するのか、発病はしなくても保菌はするのか等、解明すべき謎は深まるばかりです。
 そして今、さらに深刻な状況に置かれているのはアユという魚ですね。アユの場合は冷水病という、これまた劇的に死亡率の高い厄介な病気が蔓延したままで、やはりどうすることもできずに現在に至っています。例えば群馬県では、1980年には600tを余裕で上回るほどアユの漁獲量がありました。それが2002年には36tにまで減少しました。放流量そのものは、倍くらいに増えているのにこのありさまです。
 現代日本の河川湖沼の釣り場は、3つの大きな問題……アユの冷水病、カワウの食害、ブラックバス等の外来魚……を抱えているといわれています。これにKHVが加わり、さらに今後、どんな深刻な問題が起こるか予断を許さぬ状態です。ヤマメやイワナたち渓流魚にも、ある日突然致命的な脅威が襲いかかる可能性を打ち消すことは出来ないのです。
 いかに脳天気な釣り人とはいえ、釣り場を囲むさまざまな変化から目を逸らすわけにはいきません。というよりも、僕たち釣り人は、良くも悪くも変化を間近に見ながら、それを肌で感じることのできる当事者であり、目撃者であるべきなのかもしれません。
 今シーズンは、よく出かける釣り場の変化を見逃さないようにしましょう。それが何によってもたらされ、どんな結果を招くのか。そしてそれが好ましくないことであるなら、どうすれば改善できるのか。そんなことを釣り人がまじめに考え、取り組んで行かなければ、この国の釣り場や魚たちに、明るい未来はないように思えてしまう今日この頃です。

佐藤成史

佐藤成史
こんな川にもヤマメがいることがあります
(写真は実際の川とは異なります)
PHOTO BY SEIJI SATO
佐藤成史
カモたちにとっては、
住宅地の水辺は最も安全な場所。
とてもリラックスしている。

PHOTO BY SEIJI SATO
【佐藤成史著書】
「ライズフィッシング・アンド・フライズ」
              (地球丸刊)

「瀬戸際の渓魚たち」
「The Flies part1渓流のフライパターン」
「The Flies part2水生昆虫とフライパターン」
「The Flies part3
   CDCパターンとイメージングパターン」
「ロッキーの川、そして鱒たち」
「ニンフフィッシング タクティクス」
           (以上つり人社刊)

「フライフィッシング」
「徹底フライフィッシング」
「渓魚つりしかの川」
           (以上立風書房刊)
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