佐藤成史連載

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佐藤成史
佐藤成史(さとう せいじ)
【プロフィール】
 1957年、群馬県前橋市生まれ。北里大学水産学部水産増殖学科卒業。日本全国はもちろん、アメリカをはじめとする世界各国を釣り歩く。
 マッチング・ザ・ハッチの釣りだけではなく、総合的なマッチング・ザ・X(詳細は著書「ライズフィッシング・アンド・フライズ(地球丸刊)」を御覧下さい。)の理論で釣りを展開。フライフィッシングをさらに奥深い世界から捉えた眼力、分析力は他の追随を許さない。
 著書多数。テレビ・ビデオの企画、出演などで活躍中。

■FF徒然草 第4話

☆『シャロムの森』のこと
    ……新しいスタイルの管理釣り場

*森の中の小さな流れ

 それは4年前の冬のこと……。
 水産関係の仕事に従事する友人から連絡を受けて、僕は群馬県東部にある小さな渓流へ出かけました。もちろんすでに禁漁期に入っていたので、釣りをするわけではありません。友人の「ちょっと面白いところだよ……」という表現に惑わされはしたものの、とりあえず、どんな渓なのかこの目で見てくることが目的でした。
 その日は一日かけて、源流部の二本の谷筋の隅々まで見て回りました。しかしながら、渇水期であることを差し引いても、水量があまりに少ないうえに魚の姿はほとんど見当たりません。それだけでなく、渓相も変化に乏しくて、岩盤の露出した部分も多く見られるために、河川内の生息環境についても疑問が残りました。唯一、周囲の森の風情は秀逸で、冬枯れの時期であっても、春から秋の豊かな緑を容易に想像することができました。
 現地を案内してくれた小森谷浩之さん・孝志さん兄弟のお話では、この一帯は私有地であり、敷地内を流れるこの渓流を、いずれは管理釣り場にしたいとのことでした。
「どんなものでしょうか……?」という問いかけに、「やってやれないことはないと思いますが……」と正直に感想を述べ、その日はそれで戻ってきました。
 その後、土地や河川に関する法的な位置付けや、漁業権等に関する問題についていろいろ調べられ、管理釣り場をやっても問題ないという結論が出たようでした。
 そうはいっても、魚がいなければ釣り場として成り立ちません。河川の位置付けとしては、国内では稀な私有水面扱いになり、漁業法の適用外ということが分かりました。そうなると漁業権による制約を受けない代わりに、漁協による放流を受けられなくなります。というより、漁協との関係を断って、自主的に釣り場を管理しなければならなくなったわけです。
 放流なしに個体数が維持できそうな渓ではないので、釣り場として機能させるためには、相当数を自主的に放流する必要があります。管理釣り場であれば放流は当たり前ですが、どういった経営方針でいくのか、他人事ながら心配になってしまいました。
 それから2年後の夏、ある集まりで小森谷さんにお会いする機会がありました。そこで小森谷さんの口から思いがけない言葉が……、
「実は魚が増えちゃってびっくりしてるんです」
「えぇ!本当ですか?」

*自然界の力に脱帽……
 
「梅雨の後半に大雨が降って以来、やたらと魚の姿が目に付くようになったんです。放流なんか全然してないんですけどね。またちょっと見にきませんか」
と、小森谷さん。
「はい、それじゃまたお邪魔させてもらいます」
 おりしも8月のお盆の時期で、前橋は連日35度を超える猛暑。あの森の中ならきっと涼しいだろうと、避暑ついでにのこのこ出かけることにしました。
 ところが、渓に沿ってしばらく歩いただけで、そこに展開する信じられない光景に思わず絶句……。
 あの冬の日、初めて訪れたときに受けた印象がまるでウソのように、渓はまったく別の表情をしていたのです。透き通った流れには、本当にたくさんのヤマメたちの姿を見ることができました。いったいこれはどういうことなのか? しばらくは何が起こっているのか信じられないほどでした。
 これがお盆の真っ最中の北関東の渓? 釣り人の姿は他になく、溢れんばかりに魚がいる。そして沢筋を吹き抜ける風の涼しく、気持ちの良いこと……。
 僕の予想はすべての面で見事に外れ、自分の予見の甘さを思い知ると同時に、驚異的な自然の回復能力に愕然としたのです。たった2シーズン、釣り人が入らなかっただけで、これほどまでに魚が増えるとは……それは逆に、釣り人が渓流魚に与えているプレッシャーの強さを証明するものでもあるわけですが。
 こうして、実は一昨年の夏から試験的に管理釣り場の運営を始めています。詳細は『シャロムの森』のホームページ(http://www.shalomnet.net/)で確認してください。
以下、この釣り場に対する僕の個人的な感想です。
 渓の規模は、一般的にいう小渓流の部類に入ると思います。そのため渇水期の水量は乏しく、人によってはやる気が失せるかもしれません。そんなときは山歩きをお勧めします。ウェイダーだけでなく、トレッキングシューズを用意したい場所です。森の中も爽快です。
 放流は一切やっていません。少なくとも、釣り場が始まる地点から1km弱のところにある堰堤から上流の魚は、すべて河川内で再生産された個体群です。ところが個体数が多過ぎてオーバーストック気味。一気に個体数が増した弊害なのか、今のところ痩せた個体が目立ちます。特にイワナは8割くらいの魚が栄養失調気味のようです。
 通常の状態では、釣りは簡単とはいえません。特に渇水の度合いが大きいほど難しくなります。というのは、水の透明度が高く、しかも水深の浅いところに魚が多く入っているため、釣る前にほとんど逃げられます。近寄ると魚が走り、キャストをすると魚が散ります。これの繰り返しで一日を過ごし、がっくり肩を落として帰ってくる方も多いそうです。甘く見ないようにしましょう。おバカな放流魚はここにはいないのです。狙い目は、シーズンを通して大雨の後。平水の3倍くらいに増水した状態がベストのように思えます。相当の雨量があっても、この川はまず濁りません。それが強みです。
 能書きはこの程度にしておきます。興味のある方は一度出かけて見てください。
完全予約制、1日10人の入場制限、1日券は大人5000円、女性と子どもは3000円、フライ&テンカラ・オンリー、C&Rオンリー等々……ルールをよく確認してから申し込みましょう。
尚、私はあくまでこの管理釣り場の一般利用者であり、管理者とは無関係です。さらに管理者からは一切何もいただいておりませんので、その点、誤解なきようお願いします。


佐藤成史

シャロム中流部
◎シャロム中流部
真夏のシャロムの渓。
爽快な緑の回廊を釣り上がる

PHOTO BY SEIJI SATO
Shalomヤマメ
◎Shalomヤマメ
尺クラスの魚も増えてきました。
しかし猛烈にスプーキーなため、
運とタイミングまかせですねぇ……

PHOTO BY SEIJI SATO
【佐藤成史著書】
「ライズフィッシング・アンド・フライズ」
              (地球丸刊)

「瀬戸際の渓魚たち」
「The Flies part1渓流のフライパターン」
「The Flies part2水生昆虫とフライパターン」
「The Flies part3
   CDCパターンとイメージングパターン」
「ロッキーの川、そして鱒たち」
「ニンフフィッシング タクティクス」
           (以上つり人社刊)

「フライフィッシング」
「徹底フライフィッシング」
「渓魚つりしかの川」
           (以上立風書房刊)
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