佐藤成史連載

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佐藤成史
佐藤成史(さとう せいじ)
【プロフィール】
 1957年、群馬県前橋市生まれ。北里大学水産学部水産増殖学科卒業。日本全国はもちろん、アメリカをはじめとする世界各国を釣り歩く。
 マッチング・ザ・ハッチの釣りだけではなく、総合的なマッチング・ザ・X(詳細は著書「ライズフィッシング・アンド・フライズ(地球丸刊)」を御覧下さい。)の理論で釣りを展開。フライフィッシングをさらに奥深い世界から捉えた眼力、分析力は他の追随を許さない。
 著書多数。テレビ・ビデオの企画、出演などで活躍中。

■FF徒然草 第8回

☆ シャロムの夏ヤマメ
     ……いろいろな楽しみ方について

* 渇 水

 なんともはや暑い夏です。しかも気温が高いばかりでなく、ジメジメベタベタと肌にまとわりつくような不快な空気。おまけに7月の前橋は雨が少なく、気象庁のサイトで降水量のデータを調べたら、たった45.5mmしか降っていませんでした。前橋における1971年〜2000年の7月の降水量の平均が183mmだそうですから、平年の4分の1くらいしか降らなかったことになります。その大部分は、7月最終週の台風10号が降らせた雨でしょうから、実質的に雨を体感した時間など、皆無に等しかったのです。
 こうした異常気象の影響をまともに受けるのが小さな川です。
 このシリーズの第4回で紹介した『シャロムの森(http://www.shalomnet.net/)』でも、近年稀に見る大渇水状態が続きました。日に日に減水していく流れ……そんな中、魚たちの動きも日に日に神経質になっていきます。それと同時に当然水温も上がってきますから、下流部のイワナには黒っぽくサビが出て、心なしか動きも鈍くなっていました。それはおそらくストレスを感じているからで、こうなると日中は捕食行動を止めてしまいます。僕が計測した範囲の日中最高水温で18℃でしたから、日当たりの良い場所や暑い日には20℃超えていたかもしれません。こんな状態が1週間も続けば、弱い個体は死んでいたかもしれません。
 7/25の午後、激しい雷雨があってシャロムの流れは危機的状況から脱しました。その後さらに台風10号の影響で、シャロム周辺には数日間で100mm程度の雨が降ったそうです。下流部にある草木ダムの貯水率は7/24の時点で50%を切っていましたが、この雨のおかげで現在は90%台にまで回復しています。
 
* 釣れない悦び
 
 7月の最初の2週間は北海道に滞在していましたが、帰宅後の3週目以降、25日までの約10日間の間にシャロムへ4回行きました。今思えば、状況が最悪なときに通う必要もなかったのですが、これほど時間が空くことは滅多になく、状況が悪いなりの楽しさというものもあって、ついつい夢中になってしまいました。
 実際、ハッとするような大きな魚が見えるのです。定位場所やクルージングするコースは多少違っても、毎回同じ場所にいるのが確認できます。雨が降らなかった時期だけに、彼らにしても移動のしようがないのでしょう。
 だからそれを、サイト・フィッシングで狙うことができるわけです。これがたまらなく楽しいのです……。
 特に今年は右の沢に尺クラスのヤマメがけっこう入っていて、悠然と流れに遊ぶ様子が林道からつぶさに観察できました。ところが、林道から俯瞰で見下ろしたときと、渓に降りたときの視線の角度の違いで、魚の位置にズレが生じます。太陽光線の角度によっては、どうやってもまったく見えなくなることさえあります。このとき、水が多ければ、多少のミスキャストは流速や波が救ってくれますが、渇水時ではカバーしてくれるものがありません。下流部にいた小型の魚が走れば、その時点でゲームオーバー。川面に見事に張り巡らされたクモの巣も、キャストの邪魔をします。そんなこんなの要因で、魚に気付かれることなくフライを水面に落とせて、それを魚が見てくれる確率は10%以下といったところ。90%はラインが宙を走った瞬間に気付かれ、逃げられてしまいますから。
 ファーストキャストがうまく決まって、フライが魚の目前に運ばれたとしても、この渓の大型魚は信じられないくらい慧眼です。わずかなドラッグを見抜き、フライを凝視してスプークします。だからワンキャストで捕食に至らすことができなければ、やはり90%は見切られた時点で走られます。つまり、2回目のキャストさえさせてくれないわけなのです。
 こうした苦行がいつしか快感に変わってくるのが、釣り人の悲しい性なのですね。釣りたい魚を釣れないことが、自虐的な悦びに変質してくるのです。
 そんな失敗(快感?)を何度か繰り返すうち、たまには成功することがあります。成功の裏には、積み重ねてきた経験や試行錯誤が隠されていたりもしますが、まあそんなのは自己満足の世界なので置いときます。とにかく、苦労して釣った魚というのは格別で、人様に何と言われようが、自分にとっては忘れ得ない記念碑になります。釣れない快感は自虐を伴う暗い悦びに心が支配されますが、計算どおりに釣れたときは、達成感を伴う正しい快感に包まれます。
 
* 楽しみ方いろいろ

 こんなことを書くと、シャロムはそんなに釣れないのか……と思われるかもしれません。でも、けっしてそんなことはありません。普通のサイズで普通の性格の魚は、普通に釣りあがっていれば普通に釣れます。つまり、僕のようなマニアックな楽しみ方ができる一方で、正攻法で一般的な楽しみ方も充分できるわけです。もちろん、午前と午後で別々の楽しみ方をしてもいいわけですが、要は自分で納得できる釣りができるかどうかですね。大きな川でなければ嫌だという人でなければ、この渓はそれなりの楽しみ方をいつも提供してくれることでしょう。
 ただし前述したように、周囲の状況変化の影響を大きく受けます。特に水量の変化は、一般的な釣果に最も大きな影響を与えます。
 例えば、一定時間の釣果を平水時に5とすれば、減水するほどその数字はどんどん減って、今回のような異常渇水ともなれば、限りなく0に近くなります。その逆に、増水すれば、その数字はどんどん増えて行きます。この川の場合、平水位の倍の水量になれば、釣りやすさも単純に倍になることでしょう。
 そうはいっても平水の基準をどこに取るかが曖昧では比較しづらいので、近々水位の基準点をどこかの地点に設けておくように管理人の小森谷さんにお願いしておきます。あるいは毎分の流量が簡単に分かれば、それが一番分かりやすいかもしれません。
 自分の場合は条件に関わらず、釣りたい魚を2〜3尾釣ればその日の釣りは終了しますが、数にこだわる人はそうもいきません。また、ここはかたちのうえでは管理釣り場ですから、とりあえず、数が釣れてくれるにこしたことはありません。
 それに、放流魚相手の釣りとはまったく質の違う釣りになりますから、初めての人は魚の習性そのものに面食らう可能性があります。
 しかし、楽しみ方はいろいろですから、自分なりの楽しみ方をまっとうする努力をしましょう。その努力の結果が報われることが、本当の満足につながるのですから。そしてシャロムには、いろいろな楽しみ方の素材がたくさん転がっています。
 これから9月にかけて、一般の河川の資源量は急激にダウンします。しかしここはそんなこととは無縁、魚の個体数はしっかり確保されています。むしろ8月〜9月が最盛期といってもいいほどです。通い詰めるのがますます楽しみです。

佐藤成史 
 



◎真夏の渓
清涼感溢れるシャロムの渓。しかしこの透明度がクセモノ   [PHOTO BY SEIJI SATO]


◎夏ヤマメ♂
立派な体躯の泣き尺夏ヤマメ。これを釣ったのが7/17、それ以来7/25までは同じプールを悠々とクルージングしていました。秋までには楽々尺を超えるのでしょうね    [PHOTO BY SEIJI SATO]


◎ハードシェル・アント
すべてのドライフライを完璧に見切る魚でも、この手のフライを沈めてやれば、一発で反応してくれることがよくあります。真夏の釣りには欠かせないパターンです       [PHOTO BY SEIJI SATO]

【佐藤成史著書】
「ライズフィッシング・アンド・フライズ」
              (地球丸刊)

「瀬戸際の渓魚たち」
「The Flies part1渓流のフライパターン」
「The Flies part2水生昆虫とフライパターン」
「The Flies part3
   CDCパターンとイメージングパターン」
「ロッキーの川、そして鱒たち」
「ニンフフィッシング タクティクス」
           (以上つり人社刊)

「フライフィッシング」
「徹底フライフィッシング」
「渓魚つりしかの川」
           (以上立風書房刊)
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