佐藤成史連載

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佐藤成史
佐藤成史(さとう せいじ)
【プロフィール】
 1957年、群馬県前橋市生まれ。北里大学水産学部水産増殖学科卒業。日本全国はもちろん、アメリカをはじめとする世界各国を釣り歩く。
 マッチング・ザ・ハッチの釣りだけではなく、総合的なマッチング・ザ・X(詳細は著書「ライズフィッシング・アンド・フライズ(地球丸刊)」を御覧下さい。)の理論で釣りを展開。フライフィッシングをさらに奥深い世界から捉えた眼力、分析力は他の追随を許さない。
 著書多数。テレビ・ビデオの企画、出演などで活躍中。

■FF徒然草 第21

☆ウェーディングシューズ考
  ……足元の重さが気になる今日この頃

*草鞋の世代

 渓流釣りを始めた10代の頃から、足回りにはいつも悩んでいました。滑らぬシューズはないものか、何かうまい滑り止めはないだろうか、しかも安いコストで長持ちして……というように、あるはずもない答えについていつも考えあぐねていました。

 当時はフェルトソールなんてものはまだ一般的でなく、見かけたとしても高校生の手の届くものではありませんでした。荒縄を運動靴に巻きつけたり、コットンのバスケットシューズに絨毯の切れ端を貼り付けたり、いろいろやってはみましたが、どれも耐久性や安定性に欠け、行き着くところは草鞋(ワラジ)でした。草鞋とは、藁で編んだ草履(ぞうり)のような履物です。

 その当時(昭和40年代中頃)、釣り具屋さんの軒先には、必ずといってよいほど草鞋がぶら下がっていました。草鞋は渓流釣りやアユ釣りには欠かせないアイテムとして、とてもポピュラーだったのです。普通のタイプは一足80円くらい、布切れで負担の懸かる箇所を補強してあるタイプは100円以上したように記憶しています。草鞋は完璧な消耗品で、1日に2足は必要でした。学生にはこれがけっこうな負担だったのです。

 草鞋をしっかり履くためには、先割れの地下足袋を履くことが前提条件です。さすがに裸足に直接着用するわけにはいきません。藍染の綿、柔らかなゴム底の地下足袋、もちろ金色のコハゼで踵側を固定します。15枚コハゼのロングタイプを履くこともありましたが、ふくらはぎ部分の保護にはやはり藍染の脚半を利用することが多かったと思います。今では想像すらできない粋ないでたちですね。

 そのうちに、草鞋の素材がナイロンに変わってくる頃になると、フェルトが渓流用地下足袋(渓流タビ)のソールに利用されることが一般的になってきました。こうなると、履き替えが面倒くさく、耐久性の乏しい草鞋はだんだん敬遠されるようになりました。

 ウェーディングシューズという名称で、フェルトソールのシューズが販売されるようになったのは、フライフィッシングが流行の兆しを見せた昭和50年代中頃あたりからでした。舶来品のダナー、ラッセル、CSEなどが、当時の憧れのメーカーです。すべて使ってみましたが、日本の渓を歩くには硬すぎたばかりか、擦れにも弱く耐久性の点では不満でした。しばらくしてアルティメイト等の合成皮革の製品が次々に発売され、国産品も徐々に市場に出回るようになりました。

 おそらく、昭和40年代に渓流釣りを始めた人たちが、草鞋を履いて渓を歩いた最後の世代ではないでしょうか。そして草鞋に使われていた藁という素材は、滑り止めとしてならばフェルト以上のクォリティーを秘めた性能を持っていると思います。

*ウェーディングシューズの性格

 ウェーディングシューズには、二つの流れがあります。

 ひとつは軽登山靴からの流れで、基本的には比較的フラットなオフロードを歩くための構造をしています。靴底が硬めで、通常の歩行が楽になるタイプです。欧米メーカーのほとんどがこれで、構造上やや重くなってしまいがちです。

 そしてもうひとつが、草鞋の流れを汲む沢登り用のシューズです。靴底が柔らかく、良く曲がり、接地面を広く取ることでグリップを確保するタイプです。草鞋の世代としては、重量も軽いこちらのタイプのほうが圧倒的に履きやすいのですが、長時間の着用や歩行、そして重い荷物を担いだときに疲れやすいのが欠点です。

 現在では、これら二つ性格を併せ持ったハイブリッド的なタイプもあります。また、ウェーディングシューズとして独立した分野を開拓しつつあるようにも見えます。しかし、どう考えても日本の渓流には向かない重く硬いウェーディングシューズも出回っています。そんなわけで、選ぶ方もとまどってしまいます。

 個人的にお勧めしたいのは、乾燥時の片足重量が600g程度で、良く曲がる柔らかいタイプのものです。渓で転びたくなければ、こうしたタイプを選んだ方がよいでしょう。水中に入ってフェルトや本体に水分を含むと、片足の乾燥重量プラス300gの重さが加算されます。普通の筋力の人では、シューズの重さが片方で1kgを越えるあたりで、通常の歩行に苦痛を覚えるはずです。おまけに硬くて曲がりづらいと、負担は倍加されます。足元が滑りやすい渓流では、重さと硬さは致命的な障害なのです。

 最近では、滑りやすい川床に対応したラバーソールも開発されています。そのうち、ステルスソールと呼ばれるものが有名ですが、そのほかにもいくつか種類かあるようです。ラバーソールでしたら、ソールに水分を含まないぶん、濡れたときの水分重量加算は、本体が吸い込むぶんだけで済みます。

 問題は富栄養化した里川の流れによくあるような、川床一面がヌルヌル滑るような苔に覆われている場合に対応できるかです。自分で判断する限り、このような場合はまだフェルトに分があると感じます。それからラバーソールの場合、硬く曲げづらいシューズではせっかくの性能が生かしきれません。ラバーソールも草鞋と同じく、接地面を広く取ったときに本来のグリップ性能を発揮できるからです。

*消耗とソールの張り替え

 自分の場合、フェルトソールの張り替えは年平均6〜7回です。常に10足近くをローテーションしていますが、シューズそのものがダメになるのは年に3足くらいでしょうか。移動する必要のないライズ待ち専門の川ならフェルトの磨耗は最低限ですが、一般の釣り上がりや長期のロードでは、2週間以上の耐久性があるシューズに出会った験しがありません。

 僕の足は多くの日本人の特徴にあるような幅広ですが、甲高ではなく、痩せています。そのうえ偏平足気味なので、なかなか足に馴染むものに当たらないのです。そのためせっかくフィット感の良いものを見つけても、それが製造中止になったり、品切れになったりして、思うように欲しいものが手に入らなくて困っています。

 また最近では、シューズそのものの重さがとても気になります。先ほども書きましたが、水分を含んだときの片足重量が1kgを越えた硬いシューズは身体が悲鳴を上げます。

 このところ、久々に愛用しているステルスソールのシューズは、乾燥重量で500g、濡れたとしてもプラス数10g程度です。軽いシューズの良さは、1日渓を歩き回ったとき、帰り道でその軽さを実感できます。「どうして今日はこんなに元気なのだろう?」と思うとき、ふと足元を見ると……そこには軽量ウェーディングシューズが……というわけです。一般的なハイカットのトレッキングシューズの重量が600g700g程度ですから、そう感じるのも当然でしょうね。

 どちらかといえば歩くのはそれほど苦にならない方でしたが、シューズの重さが気になる今日この頃、このオフは筋トレでもしないと体力を維持できないかもしれません。やれやれです。


■僕のウェーディングシューズ群
 履きやすいもの、履きづらいものが混在しています。これらが全部ではなく、修理に出していて、いつもはあるものがなかったりもしています。頑丈で軽く、耐久性のあるウェーディングシューズはないでしょうか。

  [PHOTO BY SEIJI SATO]

【佐藤成史著書】
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「瀬戸際の渓魚たち」
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           (以上つり人社刊)

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