佐藤成史連載[毎月1回月初更新]
佐藤成史
佐藤成史(さとう せいじ)
【プロフィール】
 1957年、群馬県前橋市生まれ。北里大学水産学部水産増殖学科卒業。日本全国はもちろん、アメリカをはじめとする世界各国を釣り歩く。
 マッチング・ザ・ハッチの釣りだけではなく、総合的なマッチング・ザ・X(詳細は著書「ライズフィッシング・アンド・フライズ(地球丸刊)」を御覧下さい。)の理論で釣りを展開。フライフィッシングをさらに奥深い世界から捉えた眼力、分析力は他の追随を許さない。
 著書多数。テレビ・ビデオの企画、出演などで活躍中。

■FF徒然草 第6話

☆ 日本列島右往左往  ……長期ロードは続く……

* 5月の東北釣行

 おおよそ2週間の東北地方のロードから、昨晩戻ってまいりました。
 季節はずれの台風に襲われたり、突風が吹き荒れたり、そして雨、雨、雨に打たれ続けた日々。そして未だ終わらぬ雪代は、再三の豪雨とあいまって渓筋を轟々と駆け下りて行くのでした。
 岩手山から八幡平に水源を持つ川では、多くの川がそんな状態にありました。予想に反して、季節は例年よりも遅れ気味、爆発は6月中旬以降に起こりそうな気配です。
 雫石の葛根田川のC&R区間は好調で、夏には水が干上がる区間にも、現在は滔々と水が流れています。びっくりしたのは、そこにも魚が充分に入っていたことでした。前回お知らせしたスクールでは、そこの区間を実釣の場所に選んだのですが、皆さんそれぞれに楽しい思いができたようです。
松尾八幡平の松川周辺も、やはり雪代が終わっていません。源流部の積雪は予想よりも多かったようです。そのぶん、6月中旬以降が楽しみではありますが……。
 その一方で水源標高の低い山では、新緑の勢いに押されてか、渇水気味のところもありました。秋田側でもそれは顕著でしたが、台風通過以降、大気の乱れによる度重なる降雨で渇水は完全に解消されたように思えます。
 期待していたオオマダラカゲロウは後半に少し見られた程度で、羽化と流下の主体はミドリカワゲラの類とヒメヒラタカゲロウなどでした。
 それから宮城の花山村、一迫川のC&R区間でも1日だけ釣りができました。聞こえてくる噂ほどには状態は悪くないですが、漁協による管理の難しさ、重要さを痛感しました。川や魚に親しみ、釣り場を愛する人たちの気持ちだけでは、魚を増やすことはできません。現実の壁を乗り越えるためには、地域や行政との連携を強め、明確なビジョンのもとに管理・運営していくことが必要と感じます。
 5月の北国の新緑は瑞々しく、通りすがりに眺める山里の風景にさえ、思わず見とれるほどでした。太陽にぎらぎら輝きながら萌える若葉が、雨に濡れるとか弱く透き通ったりして、どんな天候状態でも美しさに変わりはないと感じた次第であります。

* 6月の北陸、九州、そして北海道へ

 この原稿は前橋の自宅で書いていますが、数日後の週末には、岐阜の石徹白川(いとしろがわ)へ向かいます。中部地方のイベントとしてすっかりおなじみになった『第5回 石徹白Fisherユs Holiday !(http://www.town.shirotori.gifu.jp/pages/fisher/fisher.htm)』が6月5日〜6日と開催され、この催しに参加してきます。
 このイベントで毎年のように顔を合わせることで、釣り仲間の輪が各地に広がっているようです。そんな出会いや交流の場としても、こうした集まりの意義があるのだなぁと感じますし、地元の人たちにとっても、毎年訪れる人たちと顔を合わせるのが楽しみになっているようです。
 石徹白イベントの後は、富山方面へ出かけます。雑誌の取材等が二日間ほどありますが、この時期の北陸の山岳風景は絶品ですし、雪代に洗われた渓景色も最高ですから、基本的にはプライベートの釣り&写真撮影を楽しんでくるつもりです。
 6月12日〜13日は九州の熊本県、五木村で開催される『第6回 まだらフォーラム&梶原川ホタルまつり(http://www.yamame.net/madara/madara6/event.htm)』に参加します。このイベントでは友人の写真家、津留崎健さん(http://www.kentsurusaki.com/home/index.html)も一緒に参加する予定です。
 九州へは富山空港に車を置いて出かけるので、九州から帰った後も富山に数日間滞在して、北陸の渓を満喫したいです。
 富山ではもっぱらイワナを専門に釣り歩くのですが、不思議な斑紋を持った魚がいたりして、しかもそれらはすべて純粋な天然魚ですから、とても興味深いものがあります。いずれ何かの機会に、そうした魚の写真等を発表することがあるでしょう。自然が創出した理屈では表現できないバリエーションには、ただただ感服するばかりです。
 6月の後半からは北海道遠征です。スケジュールの都合で恒例の阿寒湖、阿寒川釣行が微妙な雲行きなのですが、10日間くらいは北海道に滞在する予定です。
 そんな中、7月4日は函館でスクールがあります。詳細は当サイトのガイド紹介のコンテンツでも紹介されている現地のショップ『アングラーズハット(Tel:0138-48-7553)』に問い合わせていただければと思います。アングラーズハットさんは『パタゴニアジャパン(http://www.patagonia.com/japan/index.shtml)』の函館地区の代理店なので、今回の僕のスクールは、パタゴニアジャパン協賛というスタイルで行なわれる予定です。そんなわけで、パタゴニアのフライフィッシング製品に興味のある方にもお勧めです。
 こんなふうに、北へ南へ右往左往の長期ロードが続いている今日この頃です。


佐藤成史




雪代と雨で増水した葛根田川
     ◎雪代と雨で増水した葛根田川
        C&R区間の流れ
     [PHOTO BY SEIJI SATO]

       三陸の小河川に棲むイワナ     ◎三陸の小河川に棲むイワナ   
     [PHOTO BY SEIJI SATO]

一迫川、C&R区間のヤマメ
     ◎一迫川、C&R区間のヤマメ
      [PHOTO BY SEIJI SATO]

【佐藤成史著書】
「ライズフィッシング・アンド・フライズ」
              (地球丸刊)

「瀬戸際の渓魚たち」
「The Flies part1渓流のフライパターン」
「The Flies part2水生昆虫とフライパターン」
「The Flies part3
   CDCパターンとイメージングパターン」
「ロッキーの川、そして鱒たち」
「ニンフフィッシング タクティクス」
           (以上つり人社刊)

「フライフィッシング」
「徹底フライフィッシング」
「渓魚つりしかの川」
           (以上立風書房刊)
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